Mのメモ

神経科学を専攻する大学院生の論文メモ。誤り等あればご指摘頂けますと幸いです。

GlyoxalはPFAに取って代わる固定剤となる…のか…?

Glyoxal as an alternative fixative to formaldehyde in immunostaining and super‐resolution microscopy

The EMBO Journal (2017) e201695709, DOI 10.15252/embj.201695709
Richter KN, Revelo NH, Seitz KJ, Helm MS, Sarkar D, Saleeb RS, D'Este E, Eberle J, Wagner E, Vogl C, Lazaro DF, Richter F, Coy-Vergara J, Coceano G, Boyden ES, Duncan RR, Hell SW, Lauterbach MA, Lehnart SE, Moser T, Outeiro T, Rehling P, Schwappach B, Testa I, Zapiec B, Rizzoli SO.

組織の固定によく用いられるPFAは、実は毒性高いとか標本の形態が微妙に変わるとかいう問題を抱えています。そこで別の選択肢としてグルタルアルデヒド等があるわけですが、そいつらも一長一短。例えばグルタルアルデヒドは、浸透性が低いとか架橋が強すぎるとか自家蛍光が強いとかいう問題があります。筆者らは、これらの問題を解決しつつ、簡単に手に入る固定剤を探しました。

行きついたのがGlyoxal。最も簡単な構造のジアルデヒドです。Fig. 16を見る感じ、PFAの上位互換というよりは、固定する対象によってはPFAより良いこともある、という感じ。PFAより良い点として、浸透が速い(fig. 1)とか形態の変化が少ない(Fig. 2)とかタンパク質の固定力が強い(Fig. 3)とかを挙げていますが、それぞれ根拠となるデータは、PIが細胞内に入っていく時間が速い(Fig. 1)とか、培養細胞の形態変化が少ない(FIg. 2)とか、細胞の破砕液に固定剤を加えた後にSDS-PAGEしてみた時のバンドが濃い(Fig. 3)とか。Fig. 2は良さそうですが、Fig. 1, 3は、このデータでそれが言えているのか疑問です。まぁ、見たいタンパク質がPFA固定して免染で染まらない時は、試してみるのもありなのかな、というくらいの受け取り方で良いと思います。

気になる組成は以下の通り。4 mLの固定剤を調整するのに…

  • 40% グリオキサール...0.313 mL
  • エタノール...0.789 mL
  • 酢酸...0.03 mL
  • DDW...2.835 mL
  • NaOH...pH 4-5になるまで

固定した後はNH4Clとグリシンでクエンチしてます。エタノール添加とか低いpHを加える理由については、この条件だと固定前後での形態の保存がいいんだとか(Supple Table 1)。こんだけpH低いと蛍光タンパク質の消光が気になるところですね(ちなみにpHはpH試験紙で調整したとか書いてありました)。ちょっと試してみようと思うのですが、TwitterでGlyoxalを検索するとPFAの方が良いわ的なツイートが多いので、あまり過度に期待しない方が良さそうな予感もします。笑