GCaMP7(A317Lとは?)
jGCaMP7 cultured neuron data
Unpublished, Douglas Kim and Colleagues
論文ではありませんが、JaneliaのGENIEがGCaMPの新シリーズを出しているようですのでご紹介。jGCaMP7。全部で4種類。
- jGCaMP7s - sensitive detection of activity
- jGCaMP7f - more sensitive replacement for GCaMP6f
- jGCaMP7b - higher baseline fluorescence, for imaging small structures (neurites)
- jGCaMP7c - very low baseline fluorescence, for wide-field imaging
培養ニューロンでの基礎データはこちら(タイトルのリンク先、一番下のPDFより)。
プラスミドはAddgeneで購入可能。AAVはまだ。
https://www.addgene.org/browse/article/28192237/
どういう改変を入れたかについての説明書きはGENIEのページには無いのですが、Addgeneのページでタンパク質の別名を見たところ、以下のようにありました。
- jGCaMP7s:GCaMP3-A52V K78H T302L R303P A317L D380Y T381R S383T R392G
- jGCaMP7f:GCaMP3-T302L R303P A317L D380Y
- jGCaMP7b:GCaMP3-T302P R303P A317L M374Y D380Y T381R S383T R392G
- jGCaMP7c:GCaMP3-L59Q E60P T302L R303P M378G K379S D380Y T381R R392G T412N
参考までに、GCaMP6シリーズとGCaMP5Gの別名をば。
- GCaMP6s: GCaMP3-K78H T302L R303P D380Y T381R S383T R392G
- GCaMP6m: GCaMP3-T302L R303P M378G K379S D380Y T381R S383T R392G
- GCaMP6f: GCaMP3-T302L R303P A317E D380Y T381R S383T R392G
- GCaMP5G: GCaMP3-T302L R303P D380Y
つまり、やったことはこういうことみたいです。
- jGCaMP7s: GCaMP6sにA52V A317Lを追加
- jGCaMP7f: GCaMP5GにA317Lを追加
- jGCaMP7b: GCaMP6sからK78Hを抜いてA317L M374Yを追加。T302LをPへ(18/12/09追記)。
- jGCaMP7c: GCaMP6mからS383Tを抜いてL59Q E60P T412Nを追加
個人的に特に興味深いのはjGCaMP7fで、GCaMP6シリーズの開発で見つけた変異を全部無視し、GCaMP5GにA317Lという、一個の変異を入れることでここまで驚異的な進歩を生み出しています。
GCaMP6論文に記述があったのですが、A317はM13–CaMが相互作用する場で、Caへの親和性に影響するとのこと。GCaMP6シリーズの開発でもここは検討の対象になっており、実際6fでA317Eという変異が入っているわけですが、何故このA317Lという変異が見落とされていたのかは謎。
jGCaMP7s, f, bで採用されているこの変異が一番のブレイクスルーだと思われます。A52V、L59Q、E60PはcpEGFPの残基。ベースの蛍光を落とすのに役立ってるのでしょう。M374YとT412NはCaMの残基。
PS
そもそもGCaMPってどういう原理で動いてるの?という方はコチラの記事もご参照ください
http://tak38waki.hatenablog.com/entry/2014/04/29/033013